大365出版展 MABOROSI -開催中-

会期:2019年 11月29日(金)- 12月17日(火)
12:00-17:00
水・木曜休み
入場無料 


長野県上田市を拠点に活動する365出版のみなさんの展覧会です。
365出版のメンバーの一人である池上幸恵さん曰く「『出版』と名乗ってはいますが、出版点数は2点のみ。でも生きることの全ては出版に繋がると思っています。生きることを楽しんだ末に生まれて来た数々のものを、今回なんでも売ってみることにしました。」とのことです。


出展作品(全て販売します)
自宅の土、もらった土で作った土偶・プチプチを溶かして作ったポーチ・幻のような消しゴムはんこ・消しゴムはんこを作ったカスで作ったカスゴムはんこ・捨てられるはずのナニナニで作ったくすだま・お蔵入りするはずだったナニナニ・真鍮のバッヂ・ポストカード(ひとつひとつ描きました)・日記・会話・我々の活動のチラシ・わたし新聞(新作もあります)・拾ったナニナニ・おさいせん箱・プリクラ・すべての思い出
 




「ぼくら現実 まぼろしと手をつないでいる」

「いやですわあなた そんなかすみをたべて生きているようなひとたちと」



ワークショップ開催します!
下記の2日間はアノニム・ギャラリーが365出版のアトリエに早変わり!メンバーが在廊して、日頃の制作の話をしたり、制作の手ほどきをしてくれます。池上さんは土偶づくり、いしいさんはプチプチで作る雑貨のWS、高橋さんは消しゴムハンコづくりが主な内容となります。庭で焼き芋作りもするとかしないとか。お気軽にご参加ください。

ワークショップの日と時間:12月6日(金)と7日(土) 12:00-16:00のあいだいつでも
参加費:まぼろしの消しゴムハンコづくり 1000円~
    まぼろしのプチプチワークショップ 700円~
    まぼろしの土偶作り 1500円
予約不要
お問い合わせはkotobaya.net@gmail.com(コトバヤ)まで



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365出版とは何ぞやという方のために、アノニム店主が365出版について書いた文章を添付します。本展ではいろんな方の365出版への見方・考え方が文章というかたちで展示される予定で、これもそのうちの一つとなります。


「365出版―文化的金魚すくい」
365出版(サンロクゴシュッパン)は上田市を拠点として活動している池上幸恵、いしいえりこ、佐々木良太、高橋さとみの4名を中心に2018年に結成された。365出版という名前は、その活動の発端が池上さんの日記を自分たちで手刷りで出版しようというところから来ているが、活動そのものを見れば、出版だけにとどまらない。活動全体を見る前にまず肝心の出版業務をおさらいすれば、池上さんの日記、あおやぎまゆみさんの「わたし新聞」2冊、いしいさんの「おみせやさんになりたい」の4冊を出版している。どれも手刷りで、製本も自分たちでしているし、表紙も1冊1冊異なる装丁を施されていたりする。内容もかなり個人的なものばかり。いわゆる大量生産の出版とは真逆の出版業である。そして、その他の活動としては、メンバーの各人の展覧会を開催したり、音楽のライブで影絵のインスタレーションを披露したり、「合宿」と称してうちに泊まりに来たり、「会議」と称してジェンガに興じたりしている。
4人にお会いすると、いつもふざけて笑い合っているのだけど、ここぞというときにやることが真剣なので、たぶんすごくまじめな人たちなのだと思う。ときどき遊びなのか本気なのか分からなくなる。そして、仲が良いのだけど、気を使い合ってもいて、その関係のバランスが何とも絶妙であると思う。そういったバランスの絶妙さの完璧具合(ありえなさ)が、「MABOROSI」という本展コンセプトを生んだ所以だと思う。
私は今回、展覧会を開催するにあたって365出版について考えていたときに「文化的金魚すくい」という言葉が思い浮かんだ。元ネタは村上春樹の『ダンスダンスダンス』で主人公が自らのライターの仕事を表現した「文化的雪かき」という比喩である(それは誰かがやらなきゃいけないことをやっている、片付け仕事をするという意味であったと思う)。365出版の活動が何故に「文化的金魚すくい」なのかといえば、①非常に繊細なやり方で非常に繊細な物事をすくい取っていく、➁やってもやらなくてもいいことである、③成功するときと失敗するときがある・・・といった理由である。一番重要なのは①で、“すごいこと”とか“とくべつなものごと”ではなく“ふつうのもの”をおもしろおかしく見ること、すくい取ること、それはもう魔法みたいに“なんかすごそうなもの”に変換すること(鮮やかに見せること)、を365出版はしているのだと思うからである。あと、③も意外に結構重要で、絶対に成功させよう!みたいな力の入れ方ではなくて、時として(ままあるのだけど)びっくりするくらいの抜け感を見せるときがあるのも365出版の強みだと思う。

思えば、「MABOROSI」も「金魚すくい」もはかないものである。はかないものを分かりやすく伝えることはなかなか困難である。はかないものを受け止めるにはこちらも感性をどろどろにゆるめなくてはならない。そういう繊細な立ち位置に365出版は冗談を飛ばしながら立っている。