ムゲン展 -終了しました-


会期:2018年6月1日(金)-26日(火) 11:00-18:00 水・木曜休み




ふじのえみこさんは鉄塔があることで社会とつながっているという。それは、実際に鉄塔写真家としてしか生きられないという彼女の性もあるのだが、電気は愛だというふじのさんの考え方にも通じる。電気や電波は鉄塔によって全国繋がっているそうだ。コンセントにプラグをさせば、それは日本中の鉄塔をめぐりめぐっている電気に通じる(地域によって電力会社が違ってもそこをつなげている鉄塔もあるらしい)すなわち、それは全く知らない人たちとつながる行為でもある。誰かとつながる。誰かと共有している。すなわち、電気は愛だということである。
そんな人と人をつなぐ鉄塔をかわいらしい、いじらしい存在として捉えて、作品にしている。ふじのさんにとって鉄塔は性別で言うと女の子で、「かわいいねー」といいながら撮影する。
さらに、ふじのさんの考えを広げれば、人間は現在の三次元世界では、水力・火力・風力・原子力で電気を発電することしかできないが、いずれ想像力で発電しようとする時代が来ると思っている。その世界では、脳という永遠のコンピューターを使って、時空を超えて電波を届けることができる。それは量子テレポーテーションというらしい。感情や思考やもの、つまり量子が時空を越えて移動するということ。遠く離れた人と会話が出来たり、まだ湯気の立っている暖かい料理を届けられたりする。そんな世界では、もはや鉄塔なんていらなくて、わたしたちひとりひとりが鉄塔みたいになるのかもしれない。その次元の世界では人間は見えないけど存在しているものなのだ、とふじのさんはいうけれど
本展ではふじのさんの鉄塔写真、ふじのさんと石田さんの共同による鉄塔の立体作品、星野さんの多次元立方体を展示します。

出品作家

石田冲
1945年福井県生まれ。22歳のときに長野県に移住し、あと放浪、茅野市にいたる。1989年よりステンドグラスを始める茅野の“フォーク・アーティスト”。

ふじのえみこ   鉄塔写真家/写僧/でんでん商店店主
長野県松本市出身・山形村在住。2012年より鉄塔写真を撮り始める。「鉄塔は人のこころとこころをつなぐもの」を信条に、「鉄塔と自然」や「鉄塔と人々の暮らし」の風景を撮っている写真家

星野郁馬
1990年新潟県生まれ。大学時代は数学科で高次元幾何学を専攻。大学院では美術科に転科し、美術教育および陶芸を学ぶ傍ら、多次元立方体の鋳造作品等を制作。現在は長野県内の中学校で美術を教えている。